陸別町/先人の魂にふれる旅
新型コロナウイルス感染症の収束が願う毎日が続いていますが、今から約160年以上も前の安政の時代に江戸を中心に蔓延、多くの死者を出したのがコレラという感染症でした。
そしてその当時、江戸でコレラ予防法と治療法を学んだのちに千葉県銚子市でのコレラ予防に貢献し、死者を1人も出さなかった人物こそが、陸別町開拓の祖である関寛斎(せき かんさい)だったのです。
蘭方医であった関寛斉が陸別町への移住を決意し、斗満の原野に鍬を入れたのは1902年。年齢はなんと72歳のときでした。全財産を投じて広大な関牧場の開拓に従事する一方で無料診療を行いながら、自営農業育成をめざしていましたが果たせず、82歳に自らの命を絶っています。
未開の原野開拓だけでも驚きですが、隠居を考える年齢だったにも関わらず「空しく楽隠居たる生活し以て安逸を得て死を待つは、此れ人たるの本分たらざるを悟る事あり」の格言のごとく、高い志を持って余生を極寒の地で過ごしたその生き方に心を動かされ、今でもその足跡を辿りに全国から訪れる人も少なくありません。
寒さを逆手に取った「しばれフェスティバル」や熱い走りを楽しむ「ラリー北海道」、体験乗車が魅力の「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」など、先人たちのチャレンジ精神と不屈の闘志が現在の陸別町の取り組みにもつながっているような気がします。
奇しくも5月末まで新型コロナウイルス感染症拡大防止のため閉館していた道の駅りくべつ内にある『関寛斎資料館』も6月から開館となりました。
駅から歩いてすぐの緑と太陽の広場には関寛斎の銅像もあり、現在のまちのすがたを静かに見守っています。
近くには寛斎ゆかりの小説家、徳冨蘆花の随筆集「みみずのたはこと」の中の「関寛翁」から抜粋した石碑もあります。
陸別町へ訪れる際には、ぜひお立ち寄りください。
関寛斎資料館
足寄郡陸別町大通(道の駅りくべつ内)
TEL/0156-27-2123
開館時間/9:30~16:30
休館日/祝祭日を除く月曜日、祝祭日の翌日、年末年始